
Treatmenttrends
当院でみられた治療傾向


初診時HbA1cの分布
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調査の実施主体:HDCアトラスクリニック
調査範囲:初診の糖尿病外来患者の初診時HbA1cの分布(JDS値)
調査実施時期:2007年頃の集積データ
初診時のHbA1c傾向について
当院には、現在の治療に対して不安や疑問を抱える糖尿病患者様が、全国各地からご相談に来られています。
なかでも、「インスリン注射は避けたい」「他の治療方針を知りたい」「信頼できる専門医を探している」
といったご希望をお持ちの方が多くいらっしゃいます。
実際、当院を初めて受診される患者様の多くは、
HbA1cが高めの傾向にあります。2024年までに当院で把握した初診時データでは、HbA1cが7.4%以上で来院された方が全体の約3分の2を占めています。
一方で、6.5〜7.3%の方や、6.4%以下で来院された方も一定数おられます。
このような背景をふまえ、当院では初診時に必要な検査を行い、患者様の状態を丁寧に評価したうえで、治療方針をご提案しています。HbA1cの数値は患者様ごとに異なり、個別に対応することが重要です。

従来の治療法によるHbA1c傾向
これまでの外来診療を通じて、
血糖管理の向上を目指す取り組みを継続してきました。
2008年5月に当院で集計したデータによると、
当時の通院患者様の約3分の2が、HbA1c6.5%以下(JDS値)で推移されていました。
この時点では、現在のようなインクレチン関連の薬剤(DPP-4阻害薬やGLP-1受容体作動薬)は導入されておらず、従来の治療を中心とした診療でしたが、
患者様の生活背景に応じた個別対応や、糖尿病療養指導士をはじめとする多職種による支援体制を整えることで、継続しやすい治療の工夫と、患者様との協働による外来診療を積み重ねてまいりました。
現在も、そうした診療体制を大切にしながら、必要に応じて新しい治療薬を含めたご提案を行っています。
今後も一人ひとりの患者様に合った治療を考え、無理のない診療を心がけています。
2008年5月の外来患者様のHbA1の分布

調査の実施主体:HDCアトラスクリニック
調査範囲:糖尿病外来患者のHbA1cの分布
調査実施時期:2008年5月の集積データ

インスリン治療を除いたHbA1c

調査の実施主体:HDCアトラスクリニック
調査範囲:インスリン治療中の方を除いた糖尿病外来患者HbA1cの分布
調査実施時期:2015年8〜9月の集積データ
HbA1cの改善に関する傾向
過去に当院で実施した集計(2015年8月〜9月)によると、インスリン治療を除く通院患者様のHbA1c値は、6.0〜6.4%の範囲にある方が比較的多く、7.0%未満の範囲にある方を含めると全体の約80%を占めていました。
なお、この集計には、初診時にHbA1cが7.5%以上かつ継続的な治療を受けていない方や、治験に参加中の方は含まれておりません。
これらの傾向は、標準的な薬物治療や通院での定期的なフォローを通じて、患者様とともに治療方針を見直しながら取り組んできた一例です。

DPP-4阻害薬・GLP-1受容体作動薬などの治療傾向
▼ DPP-4阻害薬を使用した傾向
診療の一例として、HbA1cが7.8%前後だった方が、DPP-4阻害薬を使用することで、半年後には6.5%前後に推移したケースも確認されています。
また、HbA1c 7.3%の方が薬剤非使用時に6.4%まで改善していたものの、DPP-4阻害薬の追加により6.0%程度までの低下が見られた例もあります。
これらの傾向は、年齢にかかわらず、継続的な治療と生活習慣の見直しを組み合わせた取り組みによって得られた結果の一部です。
※一部の臨床報告は、海外学術誌(Endocrine Research誌)にも掲載されています。


▼GLP-1受容体作動薬を使用した傾向
当院では、週1回のGLP-1受容体作動薬を用いた治療を導入しており、過去の集計(2015年時点)では
42名の患者様がこの治療を受けていました。
そのうち33名はSGLT2阻害薬を併用し、
平均HbA1cは約1.9%低下、非併用の9名では約2.6%の低下が見られました。
初診時に頻回のインスリン注射をされていた方でも、
週1回の注射に切り替えることでHbA1cが改善した例
もあり、約半数が6.5%以下で安定していました。
当院では、患者様の状態に応じて、可能な限り注射回数を減らすことを基本方針の一つとし、治療法を検討しています。
※治療効果には個人差があり、
すべての方に当てはまるわけではありません。

調査の実施主体:HDCアトラスクリニック
調査範囲:GLP1受容体作動薬治療糖尿病外来患者HbA1cの分布
調査実施時期:2015年6〜9月の集積データ

SGLT2阻害薬の活用した治療傾向
当院では、患者様の状態に応じて、SGLT2阻害薬の
使用を検討しています。
これまでにDPP-4阻害薬やGLP-1受容体作動薬との併用により、HbA1cのさらなる低下が見られたケースもあり、医師の判断のもと、組み合わせ治療を行うことがあります。
特に、HbA1cの目標値に近づいている方に対し、SGLT2阻害薬を追加することで、0.5%程度のさらなる改善が見込めるケースもあるとされており、国内外の資料などでも報告があります。
また、GLP-1受容体作動薬とSGLT2阻害薬を併用している患者様では、血糖コントロールのほか、体重や生活習慣への影響にも配慮した治療方針が検討されています。
これらの薬剤の使用はすべて、診察および検査結果を踏まえたうえで、医師が個別に判断しています。
※治療の効果には個人差があり、
全ての方に同じ結果が得られるものではありません。


▼6ヶ月以上、SGLT2阻害薬を使用した
患者様の傾向
2015年6月〜9月の期間に、当院でSGLT2阻害薬を6ヶ月以上継続して服用された患者様136名を対象としたデータでは、
● 開始後3ヶ月時点で「HbA1cの低下」または「体重の減少」のいずれかを認めた方は97.8%、
● 両方の改善がみられた方は全体の約70%でした。
平均的には、HbA1cが約0.7%低下、体重は約2.4kgの減少が見られました。
一方で、6ヶ月後には改善が継続していた方の割合は約53.4%に落ち着き、体重のみが減少しHbA1cは変わらなかった方が約31.6%という結果でした。
このように、継続的な効果には生活習慣や食事管理の影響が大きく関わることがうかがえます。
この傾向から、SGLT2阻害薬は血糖や体重の改善を支援する一助となり得る薬剤であり、特に食事療法との併用が重要と考えられます。

調査の実施主体:HDCアトラスクリニック
調査範囲:SGLT2阻害剤投与症例136例においてのHbA1c及び体重の推移
調査実施時期:2015年6〜9月の集積データ

SGLT2阻害薬の服用有無と
HbA1cの中央値に関する傾向
当院で通院されている患者様のデータからは、SGLT2阻害薬の服用有無によってHbA1c値の推移に一定の傾向が見られました
(インスリン注射を行っている方を除外した集計)。
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SGLT2阻害薬を服用されていた方のHbA1cの中央値は 6.5%
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一方、SGLT2阻害薬を使用せずとも医師の判断で治療が継続されていた方では、HbA1cの中央値は 6.3% でした
また、季節によっても若干の変動があり、夏季にはHbA1cが低めに推移する傾向も見られました。
これらのデータは、薬剤の活用とあわせて、生活習慣や気候など複数の要因が血糖コントロールに影響を与えていることを示す一例です。
※この情報は、2015年当時における通院患者様の集計傾向を参考にしたものであり、治療効果や数値の変化には個人差があります。治療方針はすべて、診察および検査結果に基づき、医師が個別に判断いたします。

調査の実施主体:HDCアトラスクリニック
調査範囲:SGLT2阻害剤服用患者と服用していない患者の
3ヶ月のHbA1cの推移(インスリン使用者は除く)
調査実施時期:2015年6〜9月の集積データ

最近の治療傾向
当院では、継続的な診療と患者様に応じた薬剤選択
により、HbA1cの安定を目指しています。
2025年の集計では、年齢が上がるにつれて、血糖コントロールが少しずつ難しくなっている傾向が見て取れますが、いずれの年齢層でもHbA1cが目標値(7.0%未満)を超えることなく良好に管理されています。
GLP-1受容体作動薬やSGLT2阻害薬の活用により、HbA1cや体重の改善がみられたケースもあります。
数値は一例であり、効果には個人差がありますが、
食事や生活習慣の見直しとあわせた診療を
継続しています。

調査の実施主体:HDCアトラスクリニック
調査範囲:インスリン治療中の方を除いた糖尿病外来患者HbA1cの分布
調査実施時期:2025年6月の集積データ